ウェイトローラー交換(5.0gx6個)とドライブカバーの加工をしたら、良質のシティコミューターができあがった。

なんだか加速がモタモタしてきたぞ

ひよこ号は加速がモタモタしていて、「止まれ」や信号での停止が非常に苦痛をともないます。
原付きスクーターの役割シティコミューターとして、このセッティングはいかがなものかと思わせる加速です。

たった2.3馬力しか無かった先代のパッソルの方が、シティコミューターとしては優れているのは、どうゆうことなんでしょうね。
最近、高速側も伸びなくなってきたことですし、駆動系を見直すことにします。
まずは、駆動系をいじるために、カバーを外します。

駆動側カバーの取り外しについては、こちらを参考にしてください。

駆動側カバーの取外し
プーリーやVベルト・クラッチ等のメンテナンスに必要な、駆動側カバーの取外しです。 使用工具 使用工具は、8mm・10mm・12mmのソケットレンチとプラスドライ…
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プーリーの取外し

カバーが取り外せたら、ドラブフェイスをはずします。

ドライブフェイスを外す前に、Vベルトの上下を握ってクラッチにVベルトを落として、Vベルトのテンションを緩めておきます。

センターナットを緩めるのには、回り止めとして脱着レンチが必要となります。

私は、充電式インパクトドライバーを使うので、取外し時には必要ありません。

スズキ系 12角プーリー脱着レンチ 32mm スズキ用

こいつでドライブフェイスのセンターナット外側にあるロックナットを固定して、供回りしないようにして、17mmのレンチでセンターナットを緩めるんです。

締め付け時にはインパクトを使わずに、脱着レンチを使って締め付けます。
センターナットの締め付けトルクは50N・mなので、インパクトで締めるとねじ切ったりすることがあるので手締めしています。

クランクをねじ切ると流石に修復不能になっちゃうので。

右から、ファン、ロックナット、ワッシャ、センターナットです。

ドライブフェイスを取り外すとプーリー(ムーバブル・ドライブ)が見えてきます。

Vベルトをクランク軸から外します。

プーリー(ムーバブル・ドライブ)を手前に引き出します。

プーリー周りを色々といじってみる

プーリーの裏側を見てみると、なんだかカバーがついています。

パーツリストの見出し番号4が、初めてお目にかかる部品です。

現行モデルのレッツ(UZ50M1)では、このパーツはなくなっています。

多分、ついていなくても問題ないと思われます。

カバーを外すと、ランププレートにカバーの爪が当たった跡があります。

カバーの爪をペンチで曲げて、ランププレートの可動域を広げるか、カバー自体を取り外すか悩ましいです。
クランクに近い部品のグラム単位での軽量化は、エンジン性能に直結しますからね。

ウェイトローラーもかなり偏摩耗して、フラットスポットが出来ています。
そりゃ、ランププレートの動きを制限していたら、ウェイトローラーが途中で止まってしまうので偏摩耗しますわな。

2,000km弱しか走っていないのに、この摩耗はダメですね。
これだけフラットスポットが出ると、スムーズな変速は望めませんね。
設計者は耐用年数をどれくらいに見積もってるんだろうか。

ムーバブルドライブ内はウェイトローラーの削れたカスがいっぱいです。

ウェイトローラー

ウェイトローラーの重さは変速のタイミングを変更するので、乗り味が変わってきます。

ウェイトローラを軽くすると変速タイミングが遅くなります。
エンジンの回転数が高回転よりになります。
軽すぎると最終変速が高速側に変わりきりません。ミッション付きのバイクで1速や2速で走り続けているような感覚です。

ウェイトローラを重くすると変速タイミングが早くなります。
エンジンの回転数が低回転よりになります。
重すぎると、エンジンの回転数が上がらず加速も鈍ります。ミッション付きのバイクで5速や6速で走り続けているような重鈍な感覚です。

純正のウェイトローラーの重さは、12.29gx3個=36.87gみたいです。
年式によってウェイトローラーの重さが変わってきています。

※参照 純正ウエイトローラーサイズ一覧

https://www.rakuten.ne.jp/gold/hatoya/rush/daytona/daytonawht.htm
年式型式モデル重量x個数総重量
’10~’12CA45A/46AUZ50L0/DL1~212.29g×336.87g
’08~’09CA45AUZ50K8/DK9/GK811.7g×335.1g
’05~’07CA41AUZ50K5~7/GK5~711.28g×333.84g

年式が上がるに従ってウェイトローラが重くなっています。
排ガス規制や燃費向上のため、ウェイトローラーの重さで鈍重な味付けにして、高回転まで回らないエンジンにされていますね。

※メーカー別ウェイトローラーサイズ (直径x長さ:単位mm)
ホンダ:16×13
ヤマハ:15×12
スズキ:17×12(一部車種:16×12)

レッツ4は17mmx12mmです。

今回は、17mmx12mmのウェイトローラーを5.5g・5.0g・4.5gの3種類を用意しました。

ウェイトローラーの数も3個から6個へ増やします。
5.5g x 6 = 33g から 4.5g x 6 = 27g まで色々試せます。

ウェイトローラーのセッティングデータを取るためなので、高価なウェイトローラはあえて使っていません。

アルバ(ALBA) ウエイトローラー スズキ系 (17X12) 5.5g 6個入り 17×12-5.5G

アルバ(ALBA) ウエイトローラー スズキ系 (17X12) 5.0g 6個入り 17×12-5.0G

アルバ(ALBA) ウエイトローラー スズキ系 (17X12) 4.5g 6個入り 17×12-4.5G

キタコ(KITACO) スーパーローラー セット 3個入り SUZUKI B 4.5G 462-2103045

とりあえず、今回は5.0gx6個=30.0gに変更します。

ウェイトローラーの組込

ウェイトローラーには、薄くグリスを塗っておきます。
ベタベタにならない程度に、薄ーく塗ります。
使うグリスは、ウレアグリスを使っています。
リチウム系グリスよりも、熱安定性・機械的安定性・寿命特性に優れるグリースです。
ホームセンターなどでも、手軽に手に入ります。

AZ ウレアグリース 100g 1ケ付ブリスター No.781

ウェイトローラーを3個から6個にすることで、1個あたりの負担を減らすことも出来ますし、ウェイトローラーの精度が3個のものよりも劣るものでも許容できるはずです。

スライドピースにも薄くグリスを塗ります。
絶対塗り過ぎはダメですよ、高速回転してグリスが飛び散って、Vベルトに付着すると滑ってしまいますので。

ランププレートを制限しているカバーの加工

※最終的にはこのカバーは取外してしまいましたが、トライした備忘録としてこの項を残しておきます。

外しても問題ないと思うのですが、なるべくノーマルに近い形でいきたいので、加工して使います。

カバーを外してしまえば軽量化となるので、低速域のアクセルのツキは良くなると思われます。

カバーを加工する場合の問題点は、ランププレートとスライドピースを押さえる部分です。

緑丸がランププレートを押さえる爪です。
この爪をペンチで上向きに曲げてみたのですが、プーリーボスが引っ込みきる前に、赤丸部分がスライドピースに当たります。

プーリーボスの頭が出ています。

カバーの取付部分にM4のステンレスワッシャーを、2枚追加してカバーを持ち上げることにしました。

これで、プーリーボスの可動域が広がりました。

まだ、少しプーリーボスの頭が出ています。

ワッシャを3枚にすると、プーリーとツライチになるまで、ボスが可動します。

しかし悲劇が・・・。
ワッシャを3枚にすると、クランクケースにヒットしてしまいました・・・。(泣)

カバーのボルトがヒットしたようです。
裏側は、かなりクリアランスが小さそうですね。

ワッシャー2枚だと、どこにも干渉しませんでしたが、ワッシャーの厚みが1.8mmだったので、2枚のときでも、カバーのボルトとクランケースとのクリアランスは1.8mm以下とかなりシビアになっています。

結局ムーバブルドライブ裏のカバーは取外しました

なんだかんだとやりましたが、強化クラッチスプリングをインストールしたときに、結局このカバーは取り外してしまいました。
今のところは、問題なく走れていますが、試されるときは自己責任で。

強化クラッチスプリングを入れたら、激坂を登らなければ、これでいいやと思えるシティコミューターの出来上がり。
強化クラッチスプリング Vベルトが滑っていたときの元気な(?表現的におかしいですね)レッツ4に近づけようと、購入した「強化クラッチスプリング」をインストールして…
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プーリーの組込み

プーリーが使い切れているかの確認のために、油性マジックでラインを入れておきます。

Vベルトがプーリーの面を通るとラインが消えるので、このラインが全部消えていれば、プーリーが使い切れているということです。

取外したときの逆の手順で、組み込んでいきます。

駆動系の組込

試運転

キックスターターギアまで組み上げたら、試運転します。

危険なので、必ず駆動側の反対側(マフラー側)に立って、エンジンを掛けます。
締め付け不良等で、部品が飛んでくることもあるので、必ず駆動側に人や壊れて困るものがないようにしてください。

異音があれば、直ぐにエンジンを止めしょうね。
カバーを付けてからだと、異音も分かりづらいですし、何かあったときのダメージが大きいですから。

カバーを付ける前に、キックアームを取り付けて、キックが正常に機能するかの確認も忘れないでください

完了

カバーを付けて完了です。

まとめ

交換用Vベルトは用意してあったのですが、現在Vベルトの幅は18.3mmでしたので、使用限界まではもう少し使えるので、今回はそのままで組み上げました。

20km/hからの加速は充分過ぎるほどの加速をします。
20km程慣らしてから、アクセルを開けてみました。

全然違います。
止まれも信号も積極的に止まれます。
0発進がかなり良くなっています。
今まではアクセルワークなんて、ONとOFFしか使えないほど加速が悪かったのですが、ハーフスロットルも使えるようになりました。

エンジンの使用回転数も上がっていますが、加速とアクセルのツキが良くなったので、以前よりアクセル全開時間が短くなっています。
コーナーもアクセルを残したまま入らないと、加速で失速してバランスを崩すこともしばしばあったのですが、自然なアクセルワークでコーナリングができるようになりました。

最高速も充分満足できています。

下り坂などで、エンジンが吹けきってしまったような現象も無くなって、エンジンの回転数に忠実に速度が付いてきます。
アクセルを開ければその分きっちりと反応してくれます。

シティコミューターとしては、満点ではないでしょうか。
取り敢えず満足満足